使いやすさをかたちに
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指静脈認証装置の事例

商品概要

某メーカーより、自社開発による指静脈認証システムの商品化において、認証機のデザイン委託を受けた。本認証機はドア横の壁に取付け、入退室を管理するものである。

注意点としては、手首が反った状態では指の血流が悪くなるのでできるだけ自然な角度で指をあてられるようにすること。また、展示会などで目立つ斬新なデザインにして欲しいという要望もあった。

デザインの留意点とアイデア展開

使いやすさの観点から、液晶表示部、キー操作部は視線に対して垂直に近いほうが望ましい。それに対して、指を置く面は少し寝かせると手首が自然角度になることをラフモデルで確認した。お客様の環境で取付けられる位置が変わることも考えられることなどから次の点に留意しながら、レイアウトの検討とデザインの可能性を探った。

  • 操作部と静脈認証部の角度を適切な傾きにする
  • 取付け位置を変化させても使いやすさを保つ
  • 右手でも左手でも同様に使えること
  • 展示会で目を引く斬新なデザイン

デザインのアプローチ

展示会などで印象にのこるデザインにするには、意外性が必要だ。四角い形は機器のデザインでは多く見られるため、○や△だと「あの丸いヤツ」とか「三角のアレか」となる。憶えてもらうにはできるだけ単純な形状でまとめ上げなければならない。複雑になるとかたちを形容しづらく、特徴を捉えにくい。つまり憶えにくい。

同じ四角い形でも「あるはずのものが無い」といった既成概念を覆すことで印象づけることもできる。いずれもその狙いが伝わるように他の要素を排除し、シンプルにまとめる必要がある。

また、素材感に変化を与える手もある。プラスチックか板金塗装が多い中で、ガラスや金属光沢などを使って目を引くこともできる。

デザインの意図と表現方法

今回は表示および操作部と静脈認証部の傾きが違うため、大きな凹と凸の円弧の組み合わせによって2つの角度を一体化させた。凹面を大きく使った機器デザインは少ないため目を引く効果があることと、指を置くという行為に安心感が得られる形状だと考えたからだ。

円筒の内側のような凹面形状のベースは白、その上に乗る操作部は凸円弧状で金属調塗装を施し、それぞれの形状を明確化させた。また金属調の操作部に透明素材のボタンを組み合わせるなどして、新しさ、斬新さを感じさせるデザインとした。

できるだけシンプルにまとめ上げ、意図した形状や素材感が引き立つようにしている。

設置場所の自由度と製品展開への配慮

使いやすさの観点から、設置される高さが変われば本体の角度も変化させたほうがよい。

ベースの形状は取付け板金金具形状を変えるだけで角度を調整でき、どの角度に置いても、その使いやすさとデザインの印象が保たれるように配慮している。その結果、床置にする認証装置付きドロワーという製品へそのままのユニットを違和感なく展開できた。


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